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send 「プロ経営者」日本でも存在感 “再生請負人”業績不振なら「退場」

2016年6月20日 月曜日

  bsg1606200500001-p1   赤字決算でけじめ   「支援してくれたお客さまと…、社員の方たちに深く感謝している…。ありがとうございました」   5月11日、都内で開かれた記者会見。退任を表明したベネッセHDの原田氏は、時折、涙で声を詰まらせた。記者から涙声になった理由を問われると、“プロ”らしくないと思ったのか、「最後に涙声になったのは申し訳ない」と釈明した。   原田氏はアップルコンピュータ日本法人や日本マクドナルドホールディングスの社長を歴任。とくに日本マクドナルドでは低価格戦略で、同社を「デフレの勝者」に導いた。その手腕が買われて2014年6月にベネッセのトップに転じた。   だが、就任直後の7月に個人情報漏洩(ろうえい)問題が発覚。主力の通信教育講座「進研ゼミ」の会員流出に歯止めがかからず、16年3月期まで2期連続の最終赤字を余儀なくされた。   5月11日の会見で原田氏は「トップの振る舞いとしてけじめを問われる」と述べ、経営責任を取り6月の株主総会後に退任する意向を示した。   もう一人のプロ経営者。米ゼネラル・エレクトリック(GE)出身として、鳴り物入りでLIXILグループの社長に就任した藤森義明氏の退任表明の会見は異様な光景だった。   普通、トップの交代会見は後任と一緒に出席して経緯などを説明する。ところが、昨年12月21日に開かれた交代会見には、後任社長に就任するMonotaRO(モノタロウ)会長の瀬戸欣哉氏は出席せず、藤森氏が一人で臨んだ。   中国の関連会社による不正会計などが響き、16年3月期は186億円の赤字(前期は220億円の黒字)に転落。藤森氏は会見で「会社を大きくしてきた自負がある」と業績不振による引責辞任を否定したものの、プロ経営者としては物足りない決算だった。   これまで日本のプロ経営者といえば、りそなHDで会長を務めたJR東日本出身の細谷英二氏や、同じく日本航空で会長兼最高経営責任者(CEO)に就いた京セラ創業者の稲盛和夫氏らが有名だ。ただ、どちらも経営再建を託された“再生請負人”としての意味合いが強い。   だが、最近では通常人事でも外部からトップを招き、結果を残すプロ経営者が増えてきた。   資生堂の社長は、日本コカ・コーラで社長だった魚谷雅彦氏が務める。サントリーHDの社長は、三菱商事出身でローソン社長だった新浪剛史氏。カルビーの会長兼CEOには、製薬・ヘルスケア大手の米ジョンソン・エンド・ジョンソンで日本法人のトップを経験した松本晃氏が就いている。いずれも好業績を維持しているプロ経営者だ。   外部からの経営者が増えている背景には、企業のグローバル化がある。新浪氏をサントリーHDの社長として迎えた創業家出身の佐治信忠会長は、トップに求められている資質に「国際性」を挙げる。グローバル化が進むなか、経営トップには国際感覚に秀でた即戦力が求められているのだ。   また、東京証券取引所が昨年6月に適用を開始した「コーポレートガバナンス・コード(企業統治原則)」も、外部からの人材登用を後押しする。独立した社外取締役を2人以上導入するよう上場企業に促しているからだ。   意外と少数 引っ張りだこ   しかし、日本企業では社内から生え抜きのトップや役員が選ばれることが多いため、「社外取締役に適した人材は意外に少ない」(大手メーカー幹部)という。このため、一人で複数企業の社外取締役を務めるケースも少なくない。   実際、LIXILグループの社長を退任した藤森氏は、さっそく6月29日に開かれる武田薬品工業の株主総会後に同社の社外取締役に就く予定だ。LIXILで積極的に海外企業のM&A(合併・買収)に携わってきた国際感覚が評価された。武田薬品の総会招集通知には、藤森氏を社外取締役とする理由として「グローバルに事業を展開する会社の経営者として、また以前に有力グローバル企業で枢要なポジションを歴任した」と記載されている。   一方、ベネッセを退く原田氏は今後について「全くの未定」としている。ただ、日本では人材が少ないプロ経営者は、まだまだ引っ張りだこ。「原田氏も、そのうちどこかのトップにスカウトされるのでは」(大手流通幹部)との観測がくすぶっている。(大柳聡庸)

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