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「ドンキ化」でコンビニ反撃 ファミマ改革、来店客回復に異業種タッグ
2018年7月2日 月曜日

実験店「ファミマ立川南通り店」はタワー型陳列棚などドンキの手法を取り入れた=東京都立川市
実験店ではこうした陳列によって商品数も当然増え、改装前の約1.5倍に相当する5000点に膨らんだ。このうち、ドンキからの供給商品が2800点と半分以上を占め、中身もドンキ化した形だ。
特に若者や女性客の需要を積極的に取り込むため、菓子の商品数を従来比で3倍に拡大。商圏のユーザーの嗜好(しこう)を踏まえ、加工食品や日用品、酒を充実させたのも特徴だ。 ただ店内はドンキの特徴である「迷路」は再現しておらず、動線は直線的。うろつきながら好みの商品と出合い、買い物の楽しさを再発見させてくれる体験は本家本元でないと難しいだろう。会社の出勤前や昼休みに来店するコンビニ客は目当ての商品を速やかに購入したいというニーズがあり、ドンキの客層とはやや異なるからだ。 実験は立川店を含む都内の直営3店舗で実施され、来店客数や売り上げ動向を綿密に調べ、今後拡大するか検討する。 両社は昨年8月に資本・業務提携した。「現状の改革」を目指し、具体的な試みとしてこの実験に着手した。 昨今、ファミマを含むコンビニ業界は来店客数の伸び悩みに苦しみ、コンビニ離れというべき事態に直面している。 日本フランチャイズチェーン協会によると、今年5月のコンビニ既存店の来店客数は前年同月比2.5%減を記録し27カ月連続のマイナスだった。コンビニが得意とする食品がドラッグストアでも扱われるようになり、24時間化も進む。インターネット通信販売の普及も加速するなど、コンビニの事業環境は厳しさを増す一方だ。 形態店舗続々と ファミマのライン運営事業部の今木誠部長は実験店舗のオープン初日、「(新たな取り組みによって)コンビニから離れている人に戻ってきてもらいたい」と率直に語った。つまりドンキの力を借り、巻き返しの一打とする構えだ。ファミマは、他にもコインランドリーやフィットネスジムを併設した店舗を今年に入って矢継ぎ早に開店。来店客を呼び戻そうと躍起になっている。
一方、ドンキにとっては、ファミマの全国約1万7000店の店舗網は魅力的だ。ドンキは圧倒的な商品開発力で高い知名度を誇るものの、実は店舗数は約200店舗(ドン・キホーテのみ)と少ない。ファミマでの共同実験を通じて小型店運営のノウハウを吸収したいとの思惑もある。 タッグの勝算だが、興味深いのはユニー・ファミリーマートHD傘下の流通大手ユニーの動きだ。一足先に総合スーパー(GMS)6店をドンキとの共同店舗「MEGA ドン・キホーテUNY」に刷新している。ドンキの店作りのノウハウを取り入れた結果、今年3、4月の売上高は共同化前のユニー単体と比べ2.2倍に増加、1日当たりの客数もユニー単体と比べ1.9倍に伸長し、テコ入れはひとまず成功した。 GMSとコンビニでは業態が異なるが、ファミマ側でもこうした先例をみて、ある程度勝算を見込んでいるとみられる。 ただ、見た目の奇抜さに頼ることは固定ファンの反発を招く恐れもあり、今回の新たな取り組みはもろ刃の剣でもある。果たして、ファミマの挑戦は吉と出るか凶と出るか。コンビニ業界の将来を展望するうえでも目が離せない。(柳原一哉)