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send 「ゲリラ豪雨」対策商戦本格化 止水シートや排水促進管、予測システム開発も

2015年6月17日 水曜日

  bsc1506170500003-p1   本格的な梅雨のシーズンを迎える中、局地的に短時間の大雨が降る「ゲリラ豪雨」が急増しているのを受け、浸水被害対策の事業を強化したり、実証研究に着手したりする動きが相次いでいる。ゲリラ豪雨は建物やライフラインに甚大な被害を与える可能性がありながら、企業や自治体は十分な対策を講じていないのが現状。浸水対策市場としてはまだ緒に就いたばかりだが、今後、急速に活性化する可能性を秘めている。   ある製鉄所では豪雨の発生が見込まれる場合、20人のメンバーを緊急招集する態勢を敷いている。目的は土嚢(どのう)を作って積み上げること。ただ、1つの袋に20キロの土を詰め込む作業が必要なので、相当な労力を伴う。浸水に至らず、徒労に終わるケースも多い。   ところが、1つの製品を採用したことで負担が大幅に軽減した。文化シヤッターが開発した簡易型止水シート「止めピタ」だ。これまでの浸水対策製品は、鉄道の運転指令所などのライフラインを守るものが主流。工場の建物やオフィスビル、商業施設、住宅などに対応したものはなく、「一般向けの止水市場自体が存在しなかった」(同社新事業・特需事業本部の元木幸一郎・止水事業部長)。  

 ここ数年、ゲリラ豪雨の頻度は確実に高まっている。気象庁の発表では、2014年に1時間で50ミリ以上の雨量を記録した回数をアメダス1000地点当たりに換算すると237回だった。10~14年の5年間の累計は05~09年に比べて18%も上回る。都市の排水機能が追いつかないこともあって、深刻な被害を与えている。

  5分で設置可能   「止めピタ」は、こうした状況を踏まえ開発された。止水したいシャッターなど下部にポリ塩化ビニル製のシートを張り付け、重しで固定するだけ。約5分で設置できる。開口幅1.5メートルの場合、約30袋の土嚢(約600キロ)を必要とするが、止めピタなら1枚で止水が可能だ。使用後の手入れが簡単で、持ち運びしやすい大きさに収納できる。同社は止めピタに続き、簡単なレバー操作で扉がドア枠に密着して隙間を防ぐ「アクアード」や、設置後も開口部から出入りできるアルミ製の止水板「ラクセット」などの関連商品を相次いで投入している。  

15年3月期の止水事業の売上高は前期比1.5倍の3億1000万円だったが、茂木哲哉社長は「これまで以上の急上昇カーブが見られるはずだ」と見込んでおり、16年3月期は倍増の6億円を目標に掲げる。

  ミサワホームも、建物への浸水を抑制する防水シートを開発。戸建て住宅や店舗、公共施設などでの使用を想定し、売り込みに力を入れている。   積水化学工業は7月から、ゲリラ豪雨対策を講じた配管材料を一括して販売する事業に乗り出す。その一つが、地下に埋まった下水管とバルコニーの排水口を結ぶ配管に取り付け、排水を促す樹脂製部品だ。豪雨で排水口からあふれ、バルコニーなどが冠水するのを防ぐため、水を配管の外に放出する。   また、同社は大地震発生時に対応するため、床下に飲み水を蓄えるタンクなどを備えた「飲料水貯留システム」も開発。両者をセットにした「防災・安心パッケージ」として展開。20年度に15億円以上の売り上げを目指す。   一方、ゲリラ豪雨対策の研究を進める動きも活発だ。メタウォーターは神戸大や古野電気、新日本コンサルタントなどと組んで浸水対策に関する実証研究を始めた。  

国土交通省の下水道革新的技術実証事業の一環で、福井市と富山市で実施。古野電気が提供するレーダーシステムを活用して積乱雲を早い段階で検知し、降雨量を予測する。その後、雨水流出予測解析システムで浸水エリアを正確にはじき出し、住民に浸水地域や時間を知らせる仕組みだ。

  宇宙の観測技術を応用して大気中の水蒸気量を精密に観測した上で、ゲリラ豪雨の予兆を捉える技術研究に取り組んでいるのが、高エネルギー加速器研究機構素粒子原子核研究所の田島治准教授だ。   科学技術振興機構の「大学発新産業創出プログラム」に参加する野村ホールディングスの支援プロジェクトの一つだ。三井物産戦略研究所によると、世界の気象情報産業のうち、予報関連の市場規模は約2000億円。田島准教授は、気象・防災機関や民間企業と組んで、早期システム化を目指す。   遅れる企業の対応   監査法人のトーマツは、自然災害や品質不良、金融犯罪などへの上場企業の対応状況を調査した。  

それによると431社のうち、自然災害関連で十分な対応策を策定済みと回答した企業は2割に満たず、「多くの企業が最低限の対応策にとどまっているという現実が浮き彫りになった」(クライシスマネジメント日本リーダーの飯塚智さん)。

  法制面では、ゲリラ豪雨による都市部の浸水対策を強化する改正水防法が5月に成立。地下街管理者による避難計画の策定などが義務付けられた。BCP(事業継続計画)という観点からみても企業の対策は遅れており、関連ビジネスは堅調に推移しそうだ。(伊藤俊祐)

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