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send 「ひまわり8号」ビジネス本格化 CO2排出削減、再生エネ発電量予測など

2015年7月27日 月曜日

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日本の新型気象衛星「ひまわり8号」の運用開始などで精度が向上した気象情報を、ビジネスに活用する動きが本格化している。航空機や船舶の最適な航路の選択や食品などの需要予測の効率が高まり、コスト削減や二酸化炭素(CO2)の排出量削減、収益増につながる効果が見込めるためだ。気象情報サービス大手のウェザーニューズは航空会社向けの新しいサービスに乗り出し、日本気象協会は食品の無駄を省く支援ビジネスの事業化に着手。電力業界では発電量を予測し、燃料調達コストの削減に役立てる取り組みが活発化している。

  データ格段に改善   カラー撮影にも対応するなど世界の気象衛星の中で最高の性能を持つひまわり8号の運用が7日に始まり、台風や熱帯低気圧などに伴う積乱雲の発達状況をほぼリアルタイムで把握できるようになった。これを受け、ウェザーニューズは航空業界向けに従来より精度を高めた運航支援サービスの提供を始めた。   発達した積乱雲が現れると航空機は安全性を考慮して迂回(うかい)ルートを取り、燃料の消費とともにCO2の排出量が増えるケースが少なくない。  

気象データをより詳細に解析した同社の新サービスを活用すれば、航空会社は「台風の上空を抜ける最適航路」などの検討が可能となり、航空輸送の生命線といえる安全な定時運航と、燃料低減を両立させることができるという。

  運営主責任者の安部大介取締役は「従来の気象衛星『ひまわり7号』は観測頻度が30分に1回のため、得られるデータは台風の発達スピードに追いつくのが難しかったが、8号は2分半に1回と格段に改善された。今後は火山灰や黄砂、霧の検知でも航空機の運航サポートができるようになる」と説明する。   船舶の最適運航を目指す造船・海運業界でも、より精度の高い海洋気象情報のデータが欠かせない。波の高さや風力、風向きなどを衛星通信経由で入手した上で、船舶の運航データや性能などを加味し、最適な航路や航行速度を導き出すのが船舶の最適運航だ。   造船2位のジャパンマリンユナイテッドは、最適運航をサポートする「運航支援システム」を開発し、この“海のカーナビ”をこれまでに二十数隻に搭載。日本-ブラジル航路の鉄鉱石船では、燃料の燃焼で排出されるCO2の量が従来と比べて3~7%削減できたという。  

海運3位の川崎汽船は、最適運航や運航データの収集・監視といった複数の自社システムを統合する作業を進めている。安全運航グループ長の岡田全功氏は「統合効果によって、船の減速以外で5%のCO2削減を目指す」と意気込む。

  天候の影響は、食品業界も大きく受ける。日本気象協会は経済産業省の補助を受け、過去5年分の気象情報と各流通段階の販売情報のビッグデータから食品の需要を予測する手法を2014年度に開発した。このプロジェクトには食品業界の製造、配送、販売の大手各社も参加。実証実験では冷やし中華のつゆは約1カ月単位、豆腐は日単位での予測が可能になった。   食品の無駄軽減   また、この手法を実用化すれば、消費期限切れなどによる食品の無駄で生じる不要なCO2の排出量をつゆでは40%、豆腐では30%削減できることも判明。「15年度は対象品目を『気象感度』が高い牛乳やパン、総菜など20~30種程度に広げ、不要なCO2排出量の5%削減を目指す」(同協会事業統括部の是永司副部長)という。  

17年度以降は実証事業からビジネスの段階に移行し、地方ブロックごとに「需要開発センター」を開設。地域の気象情報を基に小売り店舗や食品メーカーに情報サービスやコンサルティングを展開する計画だ。具体的には時間帯別の来店客数や売り上げ予測のほか、生産・在庫調整や輸送手段の選定に役立つ情報を提供する。

  一方、電力小売りの完全自由化を16年4月に控えて新規参入が進む電力業界では、太陽光や風力発電など天候に左右される再生可能エネルギーの発電量の予測などに、気象情報を積極的に活用している。   IT大手の伊藤忠テクノソリューションズは、再生エネを主力とする新規参入業者の新電力や金融機関など向けに、1週間先までの気象予報に基づく発電量予測やコンサルティングのサービスをクラウドを通じて提供する。   再生エネ事業者にとって発電量の正確な予測は、事業の収益を左右する。雨や曇りなどの天候不順で電力の供給不足が生じた場合、火力発電などによる電源を調達して補填(ほてん)しなければいけないが、予測精度が低ければ調達量が過剰になるケースも出てくる。予測精度の向上は適時適量の調達を可能にし、CO2の排出削減にもつながる。  

伊藤忠テクノソリューションズのエネルギービジネス推進部は、次の一手について「再生エネの発電量だけでなく、電力会社やガス会社など向けに電力需要そのものを予測する事業にも乗り出す」(担当者)という。

  近年、都市部でのゲリラ豪雨が頻発し、竜巻が各地で発生するなど異常気象による被害が増えていることもあり、精度の高い気象情報に基づくさまざまなサービスの開発競争が今後激しくなりそうだ。(松田宗弘)   【用語解説】ひまわり8号   2014年10月に打ち上げられた最新型の静止気象衛星で、今年7月7日に気象庁が正式運用を始めた。高度は約3万6000キロ。データ量は7号に比べて50倍、画像鮮明度を示す画素数は4倍と性能が大幅に向上した。撮影間隔は地球全体が1時間ごとから10分ごとに、日本付近では30分から2分半ごとに短縮され、カラー画像の撮影も可能となった。台風やゲリラ豪雨をもたらす積乱雲などを精密に観測できる。総事業費は850億円。

フジサンケイビジネスアイ

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