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send 「けんせつ小町」が現場活性化 女性活躍、作業環境も大幅改善進む

2016年2月8日 月曜日

  bsg1602080500001-p1   女性専用のトイレにシャワールーム、化粧台、窓には花柄のカーテンがかかり、テーブルにはファッション誌…。どこかのオフィスビル内の女性用休憩室やロッカールームという風情だが、異なるのはテーブルに置かれたヘルメット。作業服に着替えた女性がさっそうとヘルメットをかぶり、向かった先は、重機の轟音響く建設現場だ。   長谷工コーポレーションが2017年3月の完成に向けて工事を急ピッチに進めるマンション計画「浦和駒場プロジェクト」(さいたま市浦和区)は、事業企画から開発推進、設計施工、販売、インテリア内装、管理までの全業務に女性社員が参画する。   現場を担う協力会社にも女性活用を呼び掛け、出入りする業者のうち17社が起用した。通常の現場は多くて3社程度。高度な作業能力が求められるクレーンのオペレーターに女性が含まれているという。   現場のトップである所長も女性という同プロジェクトでは、「言いたいことを言いやすい雰囲気がある」(事業推進1部の福本見佳部長)と、これまで男性中心だった現場とは大きく変化しているようだ。   長谷工の鶴田高士執行役員は、現場での女性活用のメリットについて「コミュニケーションが活発になること」を挙げる。男性の場合、「やっといてくれ」といった命令口調で終わることも珍しくないのに対し、女性は気を配り筋道を立てて説明する。「『やってやろう』と思わせる雰囲気作りにたけている」という。  

マンション開発中心の長谷工にとって、そもそも購入の主導権を握る女性の目線は重要。これまでも複数の女性を企画開発や現場に投入し、さまざまな面で女性の意見を取り入れている。今回の浦和駒場プロジェクトではそれをさらに進めた格好だ。内装・インテリアの決定などを女性だけで話を進め、現場で女性が働きやすい環境も整えた。こうして活躍する女性を同社は“ハセジョ(長谷女)”としてPRする専用ホームページも設置。今後も女性活用を加速する考えだ。

  女性が活躍する建設現場は、長谷工だけではない。女性技術者・技能者の愛称「けんせつ小町」が浸透したことにより、現場監督にも女性が目立つようになった。もともとは深刻な人手不足から女性の手を借りたいという側面もあったが、商品価値の向上や作業環境の改善などの効果にも期待が広がってきた。  

日本建設業連合会の宮下正裕副会長(竹中工務店社長)は「活躍の場をもっと広げることが必要」と強調。建設各社にさらなる取り組みを促す。

  鹿島は近年、施工部門での勤務を前提とした採用を実施。女性社員も入社1年目から全国の支店現場に配置され、モノづくりの経験を積む。これに伴い、女性が活躍しやすい環境づくりにも力を注いでおり、「ワーキングチームを立ち上げて女性の意見を収集した」(小泉博義副社長)。この結果に基づき、いくつかの改善を行った。その一つが作業着のデザインだ。   従来の作業着は男女共同で、ボタンとボタンの間隔が同じだった。これを胸元が見えにくいように、女性用は間隔を短くした専用の作業着を作ることで対処した。重いと不評だったヘルメットの軽量化も実現した。   経済産業省が女性活躍推進に優れた上場企業を選定する「なでしこ銘柄2015」に選ばれた積水ハウスは、現場に女性監督を積極的に投入している。特に力を入れているのが神奈川県で9つの支店全てに配置している。   施主の反応好評   小谷美樹ダイバーシティ推進室部長は「『通路に段差があると靴がひっかかってしまう』といったように、男性とは異なる視点が入ることで、安全体制の強化につながる。施主の反応も『話しかけやすい』と好評だ」とメリットを説く。  

今後も女性登用に力を入れ、17年度までに全国に16カ所ある営業本部それぞれに最低3人ずつ配置する計画だ。これに伴い、環境整備も推進。鹿島と同様に軽量ヘルメットを開発した。また、監督者は1人当たり10~15カ所の現場を管轄しており移動も多い。このため電車の中でも違和感がないようにデザインを工夫した黒色の作業着を導入した。新開発した清潔でゆとりがある移動式仮説トイレ「おりひめトイレ」も、現場で働く女性の意見を取り入れたことで実現。昨年9月に発表された「日本トイレ大賞」で、女性活躍相・男女共同参画担当相賞を受賞した。

  建設業は裾野が広く、経済波及効果が大きい産業。女性の活躍により、建設業を目指す女性が増えるだけでなく、関連する業界に与える影響も大きい。   政府の成長戦略に「女性の活躍」が盛り込まれて久しいが、なかなか顕著な成果がみられない状況だ。その意味で活発化し始めた建設業の女性活躍推進の動きは、今後の日本の経済活性化を占う試金石となりそうだ。   女性の採用や昇進の機会拡大を図る「女性活躍推進法」が今春、全面施行となる。女性活躍をめぐる企業の最新の動きを追った。(伊藤俊祐)

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