就活支援ジャーナル

send インターンシップの功罪<メリットとデメリットをきちんと理解しよう>

2018年4月11日 水曜日

「インターンシップ」とは、学生による就業体験のことだ。学生にとっては業界や企業に対する理解を深められるといったメリットがある一方、学業との両立に支障をきたしたり交通費がかさんだりと負担も小さくない。とはいえ、インターンシップに参加する学生の数は年々増加しており、優秀な学生の確保に向けた企業間の囲い込み競争も激しさを増している。本稿では、インターンシップに参加するメリットとデメリットを、企業側の視点を交えて考える。

 

多様化するインターンシップ参加する目的を明確に

インターンシップには、大きく分けて長期型と短期型の2 種類がある。それぞれ取り組む内容や趣旨、実施時期が異なるため、注意が必要だ。

長期インターンシップは参加期間が約1 カ月以上のものだ。募集対象は大学の1 ~ 3 年生で、取り組む内容としては会社の実務が中心であることが多い。実施する企業側の主な狙いは、参加者に即戦力として働いてもらい、会社の利益につなげることにある。そのため、自分の専門的なスキルを磨きたい学生や、会社の裏側を知りたいという学生に向いていると言えそうだ。長く腰を据えて実務に取り組むことになるため、他業種の選考の際にも学生時代に頑張った経験としてアピールできたり、企業関係者との人脈を広げられたりといった点が大きなメリットとなるだろう。反面、時間的な拘束が厳しいため、日々のスケジュール調整や学業・アルバイトとの両立が難しくなりかねないことがデメリットと言える。

短期インターンシップは参加期間が1 ~ 2 日間、長くても2 ~ 3 週間で、内容としては企業説明会のようなセミナー形式だったり、学生同士のグループワークだったりするものが多い。応募できるのは、主に就職活動を見据えた大学3 年生で、時期としては基本的に3 年生の夏以降に実施される場合が多い。実施する企業側の主な狙いは、新卒採用の精度を上げることだ。できるだけ間口を広げて採用選考に参加する学生の母集団を大きくすることで、優秀な人材の確保につなげたいと考えている。また、学生にとっての短期インターンシップは、複数の企業を効率よく知ることができる点が魅力と言えるだろう。スケジュールも組み立てやすく、夏季休業などを有効に使えば、多くの企業のインターンシップに幅広く参加することも難しくはない。逆に、業界や企業への理解が表面的になりがちだという点には留意する必要がありそうだ。志望業界や本命の企業であればもちろんのこと、その時点ではそれほど興味のない企業であっても、事前に企業研究を行い、どうしても分からなかった疑問を解消する場として活用したい。

文部科学省の「平成27年度大学等におけるインターンシップ実施状況について」によれば、平成27年度中において、大学の単位として認定されるインターンシップに参加した学生のうち、1 週間~ 2 週間未満のものへの参加率が32.1%と最も高く、次いで2 日~ 1 週間未満20.5%、2 週間~ 3 週間未満18.6%と続いた。一方、単位認定されないインターンシップに参加した学生の場合、1 日~ 2 週間未満の比較的短い日程で開催されるタイプのものに、参加学生全体の8 割以上が集中するという結果になった。

 

就活早期化に拍車ワンデーインターンシップ解禁

日本経済団体連合会(経団連、本部東京・千代田区)が4 月に発表した平成31(2019)年3 月卒業予定者の「採用選考に関する指針」によれば、企業説明会の解禁日は3 月1 日以降、採用面接の解禁日は6 月1 日以降と前年から据え置かれたものの、インターンシップについては原則5日間以上とする従来の規定が廃止され、一日限りのいわゆる「ワンデーインターンシップ」の実施が可能となった。インターンシップの採用活動への活用は従来通り禁じられているものの、この措置によってワンデーインターンシップを事実上の企業説明会として利用する動きが企業の間で広がりそうだ。

これを受けて、日本私立大学連盟(本部東京・千代田区)は11 月、「ワンデーインターンシップ」という呼称を用いないよう経済団体などに提言した。提言では、多くのワンデーインターンシップが就業体験とは名ばかりで、実質的な選考の場になっていると指摘。さらに「学生に無用の混乱と負担を招いている」として、本来のインターンシップと明確に区別するべきだとした。

実際に、経団連のルールで定められた企業説明会解禁日以前に、ワンデーインターンシップを通じて企業が広報活動を行えば、実質的な採用活動の前倒しとなる。就職活動に積極的な学生にとっては、より多くの企業の情報を知る機会が増える反面、学業を優先したい学生にとっては、企業研究やエントリーシート作成などの準備に手間取られ、勉強に身が入りづらくなるなど、負の面が懸念される。ただし、近年は学生優位の「売り手市場」とされ、企業側の採用競争も激しくなっているだけに、今後ワンデーインターンシップの実施がさらに広がる可能性は高まりそうだ。

そもそもインターンシップとは、学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと。自身の働き方に対する意識が深まることに加え、自分がどのような仕事に向いているのかを探るチャンスでもある。新たな気づきが得られることもあるだろう。周りに流されず、目的に沿ったインターンシップを選び、十分に準備をして参加したい。

 

平成31(2019)年3月卒のインターンシップに関する主な規定

▼ 5 日間以上という日数規定を改定→一日限定の開催も可能に

▼ インターンシップそのものの採用活動への活用はこれまで通り禁止

▼ 募集段階において学生に向けた詳しいプログラム内容を公開する

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